概要
作詞/作曲 : 藤原聡
編曲 : Official髭男dism
リリース日 : 2023.4.21にデジタルリリース
TBS系金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』の主題歌
ドラマに送られた藤原聡のコメント
まず、主題歌のお誘いを頂き、本当に嬉しかったです。TATTOOという曲を書きました。作品のストーリーにリンクするお話をすると、がっつりとネタバレになってしまうので控えますが、優しさも辛辣さも、カッコ良さも悪さもある、そんな曲になったのではないかなと思います。この曲が誰かの背中を押す曲になったらそれはとても嬉しいことですが、人によっては、あるいは日によっては、「そんな簡単に前に進めんわなそりゃ」とか言って一緒に苦笑い出来るような曲にもなってほしいなとも願っています。ストーリーが進む度に、1話毎に色んな寄り添い方をしてくれたら嬉しいなと思いますし、それを楽しんでもらえたら幸いです。
「MUSICA 2024年9月号」のインタビューを一部引用
この曲は時代にうまく馴染めなかった僕の精一杯の強がりみたいなところがあって。
僕はあんまりSNSとかで交友関係を出すのが得意でなくて、誰と仲いいとかをあんまり表に出したくないという気持ちが強いというか、どうしても苦手なんですよね。本当はもうちょっとそういうこところで起用に、フレキシブルに生きていきてらよかったな、みたいなことを思っていた時期もあったんですけど、でもたぶん、そういうのって個人の価値観でしかないし、逆に僕のこだわりも、アティチュードとして全然アリな生き方ではあるんじゃないかと思って—–それを自分でも肯定しにいった歌詞だったかなと思います。
“TATTOO”というタイトルは、みんなに見えるもんではなく、自分の心に刻まれているものとしてのタトゥーっていう意味なんですけど、それがこの曲の温度感とちょうどよくて。このこの歌詞が風をそよぐような、ドライブが似合うような質感のグルーヴと合わさることで、涼しいんだけど熱がある印象になっているところが僕はすごく気に入ってます。
ドラマの主題歌でもあるんですけど、ドラマでもこの世界にこういうことがあったていうのを信じる人と信じない人がいて。証拠がないから人には分かってもらえない、みたいなこともあるんだけど、そういう、人に分からない絆で支えられて生きている人生だってあるよっていうのが僕はしっくり来た、そういう想いで作った曲ですね。
スタジアムライブで演奏されたTATTOOにとても感動して、改めて歌詞を考察したいって思いました。
今までと若干形式を変えて曲の紹介をしてみたいと思います!
「TATTOO」に込められたパーソナルな想い
藤原聡さんのインタビューによると、この曲は「時代にうまく馴染めなかった僕の精一杯の強がり」のようなものだと語られています。
SNSが当たり前になった現代において、「誰と仲がいいか」「どこに行ったか」などを共有することが一種の“社交”のようになっています。でも藤原さんは、そういう交友関係を表に出すのが得意ではないと話していました。
大丈夫、見せびらかす必要はないから
大丈夫、自分たちだけ分かっていりゃいいから
2番の歌いだしの部分、さきほどの想いが現れている一説だと思います。
そんな彼のスタンスが表れているのが「TATTOO」というタイトル。ここでいうタトゥーは、誰にでも見えるものではなく、“心に刻まれた絆や想い”を意味しています。
これは、他人に理解されなくても、確かにそこに存在する関係や信念。外からは見えないけれど、本人の中で大切に根づいているもの。SNSのような表面的な繋がりとは一線を画す、内面的なつながりを象徴しているのです。
そっけないくらいで僕らは丁度良いんじゃない?
きっと涙も言葉もおまけでも良いんじゃない?
表面上はそっけないけれど、実はお互いに深く思い合っている関係。言葉にしなくても伝わる信頼や絆。そんな“言葉少なな愛”を知っている人には、グッと刺さる表現です。
ドラマとのリンクする部分
「TATTOO」は、TBSドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』の主題歌として書き下ろされました。
※以下、ドラマのネタバレを含みます。
このドラマでは、通勤中の電車の一部の車両が未来へとタイムスリップし、そこで地球が3年後に滅亡することを知るという衝撃的な展開があります。現実世界に戻った主人公たちは、その事実を世間に伝えようとしますが、決定的な証拠がないため、誰にも信じてもらえません。
この設定がまさに、「TATTOO」の世界観と重なります。
たとえ誰かに理解されなくても、確かにそこにあった出来事や、築かれた絆、信じた真実は消えるわけではない。
見えなくても、証明できなくても、自分の中に刻まれているならそれでいい。
そういったメッセージが、「TATTOO」というタイトルと歌詞の中に強く息づいているのです。
なんてさ 本気で思っちゃう心の恥ずかしさが僕らだけにあるTATTOO
消えない 消さない 消させやしない
恋人かもしれないし、家族や親友かもしれない。「特別」と呼ぶには少し照れくさいけど、でもその人との関係だけは絶対に忘れたくない。そんな“絆”が、タトゥーのように刻まれているのです。
TATTOOが教えてくれること
「見えないけれど、確かにあるもの」
「他人には分からなくても、ふたりにとっては大切なもの」
そういう絆の存在を、「TATTOO」は静かに肯定してくれます。派手な言葉や演出がなくても、誰かと確かに繋がっていられること。
それが、今を生きる私たちにとって、どれほど大きな支えになることか。
誰にも見せない強さと優しさを、Official髭男dismはこの曲で見事に描いています。
ライブでのパフォーマンス
Rejoiceツアーではアンコール後の最後の曲として披露されていました。
Amazon Primeで配信されているKアリーナ横浜公演での、藤原さんのMCです
「同じ横浜だし、日産スタジアムに繋がるバトンのような思いで歌います」
自分が参戦した大阪城ホール公演では、演奏前にこんなMCがありました:
「次の曲も、思い出とかそういうものを大事にしたいなっていう曲であってさ。
今日のことをしっかりと忘れないように、自分の頭と心と、いろんなところに焼き付けるつもりで歌います。」
そして、スタジアムライブではこの曲に合わせて、4人のメンバーが1台の車に乗り込み、これまでライブをしてきた会場を通り過ぎていくという演出が映し出されました。
小さなライブハウスからホール、アリーナ、そしてスタジアムへとスケールアップしていく映像は、まさに彼らの歩みそのもの。
そのすべてが一つの“物語”として繋がり、涙がこぼれそうになるほど感動的でした。
ミュージックビデオ
MVと一緒に合わせてみてほしいのが撮影裏動画の「Behind The Scenes」
「TATTOO」のミュージックビデオは、Official髭男dismのメンバー4人がグアムを旅する様子を収めた映像となっています。
メンバーだけの旅行という設定だからこそ、普段のライブやメディアではなかなか見られない、素の表情や無邪気な姿がたくさん散りばめられています。
水辺ではしゃいだり、お互いにふざけ合ったりするシーンはどれも自然体で、まるで仲の良い友人グループの旅の思い出をのぞき見しているかのよう。
見ていて思わず笑ってしまうようなシーンも多く、「あぁ、この人たちは音楽を超えて、人生そのものを一緒に楽しんでいるんだな」と心があたたかくなります。
でも、だからこそ、どこか胸に沁みるような感動が押し寄せてくるのも、このMVの不思議な魅力。
“いつもそばにいる存在”が、実は奇跡のようなものなんだと気づかされる瞬間がたくさんあります。
この先の未来がどうなるかは分からない。
だけど願わずにはいられません——
この4人が、これからもずっと一緒に、バカをやって、笑って、音楽を届け続けてくれますように。
MVを見終えたあと、残るのは**心のどこかにそっと刻まれる“温度”**のようなもの。
それはまさに、「TATTOO」というタイトルにぴったりな、消えない想いなのかもしれません。